Juliusとは
Juliusは京都大学や名古屋工業大学の研究室が開発しているオープンソースの音声認識ライブラリです
音声認識を行う場合、音響モデルや言語モデルを作成するのに非常に時間がかかるが、日本語のモデル(dictation-kit)も公開されているので、動作させるだけならサクッと利用することが可能
Juliusのインストール
公式のHPより、2021/09/23時点で最新のver4.5をダウンロードして、インストールを行います
# 日本語のdictation-kitのダウンロードwget https://osdn.net/dl/julius/dictation-kit-4.5.zip# ダウンロードしたパッケージの解凍unzip dictation-kit-4.5.zip# juliusのインストールcd dictation-kit-4.5/srcunzip julius-4.5.zipcd julius-4.5./configure --prefix=/usr/localmakemake install# インストールされたかどうかの確認julius -versionJuliusLib rev.4.5 (fast)Engine specification: - Base setup : fast・・・
音声認識する音声ファイルの準備
Juliusで音声ファイルを入力として用いる場合、指定されたフォーマットに合わせる必要があります
- 量子数: 16 bit
- チャンネル数: 1(モノラル)
- サンプリングレート: 16 kHz
https://julius.osdn.jp/juliusbook/ja/desc_adin.html
入力したい音声ファイルがmp3などの場合は、ffmpeg等を利用して変換を行ってください
# Juliusで入力可能な形式に変換ffmpeg -i audio.mp3 -ar 16000 -ac 1 -acodec pcm_s16le auido.wav
Juilusの起動と音声認識
配布されているパッケージには混合ガウス分布(GMM)とディープラーニング(DMM)のモデルが含まれている
まずは、GMMのモデルでJuliusを起動してみましょう
# GMMのモデルを利用して、Juliusの起動julius -C main.jconf -C am-gmm.jconf -input rawfileSTAT: include config: main.jconfSTAT: include config: am-gmm.jconfSTAT: jconf successfully finalizedSTAT: *** loading AM00 _default・・・### read waveform inputenter filename->
モデルが正常に読み込まれ、上記のプロンプトが表示されたら音声ファイルを入力値として与えると音声認識の結果が表示される
今回は日本声優統計学会のコーパスの音声ファイルを利用した
他のメジャーなディストリビューションに比べセキュリティー上の問題の修正が遅い場合もある
先程のプロンプトに変換したwavファイルのパスを渡すと音声認識が開始される
### read waveform inputenter filename->audio.wav・・・sentence1: あの ね ジャーナリスト に 臨床 に 比べ 、 セキュリティー 上 の 問題 の 修正 が 遅い 場合 も ある 。wseq1: <s> あの+連体詞 ね+助詞 ジャーナリスト+名詞 に+助詞 臨床+名詞 に+助詞 比べ+動詞 、+補助記号 セキュリティー+名詞 上+接尾辞 の+助詞 問題+名詞 の+助詞 修正+名詞 が+助詞 遅い+形容詞 場合+名詞 も+助詞 ある+動詞 </s>phseq1: silB | a n o | n e | j a: n a r i s u t o | n i | r i N sh o: | n i | k u r a b e | sp | s e ky u r i t i | j o: | n o | m o N d a i | n o | sh u: s e: | g a | o s o i | b a a i | m o | a r u | silEcmscore1: 0.801 0.400 0.054 0.856 0.188 0.067 0.963 0.224 0.974 0.585 0.292 0.612 0.780 0.759 0.106 0.802 0.675 0.865 0.934 0.833 1.000score1: -15867.260742
同様にDNNのモデルを使い音声認識を行ってみる
# ディープニューラルネットワークを利用した音声認識julius -C main.jconf -C am-dnn.jconf -dnnconf julius.dnnconf -input rawfileenter filename->audio.wav・・・sentence1: あの 名 ジャーナリスト り ビジョン に 比べ 、 セキュリティー 上 の 問題 の 修正 が 遅い 場合 も ある 。wseq1: <s> あの+連体詞 名+接頭辞 ジャーナリスト+名詞 り+助動詞 ビジョン+名詞 に+助詞 比べ+動詞 、+補助記号 セキュリティー+名詞 上+接尾辞 の+助詞 問題+名詞 の+助詞 修正+名詞 が+助詞 遅い+形容詞 場合+名詞 も+助詞 ある+動詞 </s>phseq1: sp_S | a_B n_I o_E | m_B e:_E | j_B a:_I n_I a_I r_I i_I s_I u_I t_I o_E | r_B i_E | b_B i_I j_I o_I N_E | n_B i_E | k_B u_I r_I a_I b_I e_E | sp_S | s_B e_I ky_I u_I r_I i_I t_I i:_E | j_B o:_E | n_B o_E | m_B o_I N_I d_I a_I i_E | n_B o_E | sh_B u:_I s_I e:_E | g_B a_E | o_B s_I o_I i_E | b_B a_I a_I i_E | m_B o_E | a_B r_I u_E | sp_Scmscore1: 0.674 0.310 0.048 0.986 0.038 0.123 0.986 0.512 0.992 0.643 0.697 0.899 0.980 0.975 0.532 0.966 0.648 0.948 0.916 0.976 1.000score1: 609.903259
音声認識で出力された結果を比較してみる
# 正しい音声
他のメジャーなディストリビューションに比べセキュリティー上の問題の修正が遅い場合もある
# GMMで音声認識された結果
あのねジャーナリストに臨床に比べ、セキュリティー上の問題の修正が遅い場合もある
# DNNで音声認識の結果
あの名ジャーナリストりビジョンに比べ 、セキュリティー上の問題の修正が遅い場合もある
前半部分の音声を正しく認識できていないが、後半の部分はどちらのモデルでも問題なさそう
他の(たの)
や ディストリビューション
という単語自体登録されていない可能性がある
scoreを見ても単語を正しく判定できていない様子もみてとれる
まとめ
Juliusをインストールし、GMMとDNNで音声認識をやってみた
意外と簡単に音声認識の結果を得ることができてすごいと思った!
これから中身の仕組みや、より精度の高い音声認識をするために必要なことを書いていきたい